様々な膝痛の原因とその対策 ~生活シーン別~


「階段を上る時に膝がズキッと痛む」
「歩いているうちにジワジワと膝の外側が痛くなってくる」
「しゃがむと膝が辛い。正座なんて痛くてとても出来ない」

…こんなお悩み、あなたにもありませんか?
年齢を重ねると日常の様々なシーンで膝の不調を感じる人が増えますが、一言で「膝の不調」と言っても、その原因は実に様々です。

このページでは
・日常生活で膝痛が起きやすいシーンとその一般的な原因
・膝痛に悩む方がよくやっている対策法の実情
・それでも良くならない時、どんな選択肢があるのか
といった内容を、出来るだけわかりやすくお伝えしていきます。

【目次】
1、階段の上り下りが辛い
2、歩くと膝が痛い
3、正座やしゃがむ動作が痛い/出来ない
4、椅子から立ち上がるときに膝が痛む
5、朝起きた時に膝が強張る
6、和式トイレや階段が怖い・避けてしまう
7、加齢による膝の変化
8、体重と膝の関係
9、生活習慣やクセが膝に与える影響
10、膝痛の予防と一般的な対策方法
11、一般的「ではない」視点で膝痛と向き合う

1. 階段の上り下りが辛い

階段の上り下りで膝が痛む場合、一般的によく指摘されるのが
「太ももの筋力不足」
「関節の変形」
「軟骨の摩耗」
…等です。
特に階段の下りでは、膝には体重の何倍もの負担が掛かるとされ、膝関節に過剰なストレスが掛かりやすくなります。

また、膝関節周囲の筋肉(大腿四頭筋やハムストリングスなど)が弱くなっていると関節の安定性が損なわれ、関節の中で微細なズレが生じて痛みが出ることもあります。初期には違和感程度だったものが、徐々に慢性的な痛みに変化していくケースも少なくありません。

ただ、実際にはそれだけでは説明がつかないケースも少なくありません。
特に階段を下りるときの膝痛には、以下のような要因が関わっている可能性があります。

股関節が上手く曲がらないため、膝に負担が集中する
足首が硬いため、足裏でうまく衝撃を吸収できない
骨盤の傾きにより、片足に体重が掛かり過ぎる
筋肉のバランスが崩れ、膝周囲だけに負荷が掛かる

これらのバランスの崩れは、日常の姿勢や歩き方のクセ、過去のケガの影響などが関係しています。

2. 歩くと膝が痛い

歩く動作は日常の基本ですが、
「歩き始めに痛い」
「長時間歩くと痛くなる」
「膝の内側・外側が痛む」
…等、タイミングや部位によって原因も異なります。

一般的に、膝の内側の痛みは内側半月板や内側側副靭帯のストレスが関与していることが多く、外側の痛みは腸脛靭帯や外側半月板が影響しているとされます。また、O脚やX脚といったアライメント(骨の並び)の問題がある場合、特定の部位に過剰な負担が掛かりやすくなっています。

これらの場合「歩き方のクセ」が原因とされています。
例えば
「外側重心で足を着いている」
「足先が外を向いている(いわゆるガニ股)」
「腰を振って歩いている」
「膝を内側に入れながら歩いている」
…このようなクセがあると、膝の一部分に負担が集中し、関節の炎症や変形に繋がりやすくなるのです。
ただし、他の要因も無視できません。
例えば…

(1)歩き始めに痛い場合
・筋膜や腱の滑走不全
動き始めに膝周囲の組織が上手く滑らず、引っ掛かるような痛みが出ることがあります(動き出すと徐々に改善します)。
・関節包の軽い癒着
膝関節を包む膜が部分的にくっつくことで、動き始めに違和感や痛みが出やすくなります。
・筋肉の過緊張
歩き始めに筋肉が硬く緊張していると、膝に負担が掛かり、痛みを感じやすくなります。
・血流の一時的な低下
動き出す前の血流が滞ることで、筋肉や関節に酸素や栄養が届きにくくなり、痛みが起こることがあります。

(2)長時間歩くと痛くなる場合
・足首や股関節のわずかな動きのクセ
本人が自覚しない微妙なクセのせいで、歩くたびに膝に余計な捻れや負担が掛かり、長時間歩いた時に痛みが出やすくなります。
・内臓疲労の反射的な影響
例えば腎臓や肝臓の疲れが筋肉のこわばりを誘発し、それが長時間歩いた後に特定の筋肉を疲労させて膝痛につながるケースもあります。これは一般的な整形外科の検査では見つかりにくい要因です。

(3)膝の内側が痛む場合
・骨盤の捻じれ
骨盤の歪みによって膝に内向きの力が掛かり、内側の靭帯や筋肉に負担が集中しやすくなります。
・逆側の股関節の可動制限
一見関係のない“反対側”の股関節が固まっていると、身体が無意識にかばい、膝の内側に捻れが集中することがあります。全体の連動を見る視点がないと見逃されやすい要因です。

(4)膝の外側・裏側が痛い場合
・太腿の筋肉の不連動
太ももの裏(ハムストリングス)と、膝の外側を通る腸脛靭帯の動きが上手く連動していないと、歩くたびに膝の外側や裏側に余計な引っ張りが掛かります。その結果、突っ張るような痛みや違和感が出やすくなります。

3. 正座やしゃがむ動作が痛い/出来ない

正座やしゃがむといった膝の深い屈曲を伴う動作が困難な場合、一般的には膝関節内の可動域制限が関係しているとされます。

特に加齢によって膝関節の軟骨が擦り減ると、関節がスムーズに動かなくなり、動作の終点で痛みを感じやすくなります。半月板の変性や損傷、靭帯の硬化も影響しやすく、これらが複合的に関与していることが一般的です。

ただ、単に膝の柔軟性や軟骨の問題だけが原因ではなく、次のようなポイントが関係している場合も多いのです。

股関節や足首が硬く、膝に余計なストレスが掛かっている
太ももの筋肉(特に前側)が緊張して膝を引っ張っている
骨盤や背中の動きが制限され、深くしゃがめない
過去のケガや手術の影響で、関節や筋膜が強張っている

このようなケースでは、膝そのものを治療しても改善しにくく、周囲の関節との連動性を整えること>が大切になります。

4. 椅子から立ち上がる時に膝が痛む

座った姿勢から立ち上がる時には、太ももやふくらはぎの筋力と、膝関節にかかる荷重のバランスが重要です。
一般的には高齢になると下肢の筋力が低下し、膝周辺に過剰な負担が掛かることで痛みを感じやすくなるとされています。
また、膝に体重が偏って掛かるような動作を長年続けていると、関節内の軟骨が偏ってすり減り、立ち上がる動作の度に痛みが出るケースもあるとされます。

こういった痛みは、実は「股関節」や「骨盤の動き」が関係していることがあります。

股関節が固まっていて、上手く前傾できない
骨盤が後傾していて、体重移動が上手く出来ていない
太ももの前側(大腿四頭筋)にばかり負担が掛かっている

その結果として、立ち上がる瞬間に「膝が代わりに頑張る」状態になり、痛みが出るのです。

5. 朝起きた時に膝が強張る

朝、布団から出ようとした時に膝が強張って動きにくい、あるいは一歩目が痛いという「朝の強張り」は、一般的には関節の潤滑液(関節液)の減少や、筋・腱の柔軟性低下が原因として考えられています。特に変形性膝関節症の初期症状として見られることが多いようです。

また、就寝中に関節周囲が動かない状態が続くことで軽い炎症が残りやすく、それが朝方に強張りとして現れるとも言われています。強張りは数分で治まる場合もありますが、慢性化してくると長時間続くこともあるようです。

このような単なる年齢による関節の劣化だけではなく、実は体内の環境が影響している可能性があります。
例えば…

・内臓疲労や肝臓の処理能力の低下
睡眠中に体を修復する機能が上手く働かず、筋膜の水分代謝や柔軟性が低下するため、起床時に強張りやすくなります。
・自律神経の乱れ
睡眠中、副交感神経ではなく交感神経が優位になってしまい、筋肉が緊張したまま朝を迎えてしまう場合があります。
・低体温や血流の滞り
特に寒い季節や冷え体質の方では、関節周辺の血流が低下しているため、朝の動き出しがスムーズにいかなくなります。

6. 和式トイレや階段が怖い・避けてしまう

痛みがあると、人間は無意識にその動作を避けるようになります。和式トイレのように膝を深く曲げる動作や、階段の昇降といった負荷の高い動作は、膝に痛みがある方にとっては特にハードルが高くなります。
このような回避行動が続くと、筋力低下や関節の柔軟性低下を招き、結果的に膝の状態をさらに悪化させるという悪循環にもなりかねません。
この場合、単なる加齢による筋力低下だけでなく、体が無意識に防衛反応を起こしている可能性もあります。
例えば…

・過去のケガや手術による「動作パターンの崩れ」
昔の足首の捻挫、骨折、靭帯損傷、あるいは婦人科系や消化器系の手術などの影響で、身体は(今は痛くなくても)「その動きを避けよう」と無意識に制限を掛けていることがあります。
・心理的な記憶(痛み記憶)
痛みを感じた動作に対して脳が「危険」と判断すると、実際に痛みがなくても体がその動きを制限し、筋肉や関節に余計な緊張を生み、その結果実際に痛みが出てしまうことがあります。

7. 加齢による膝の変化

年齢を重ねることで膝関節の軟骨は徐々に擦り減っていきます。さらに骨そのものの変形や、筋肉・靭帯の柔軟性低下などが加わることで、膝関節はスムーズに動きにくくなり、痛みが出やすくなります。
こうした変化は誰にでも起こる自然な老化現象の一部ですが、日頃の使い方やケアの仕方によって進行の度合いには差が出ます。

この時に見落とされがちなのは、「筋力や軟骨の問題」だけでなく、の衰えやバランス機能の低下が関係しているという点です。隠れた要因としては…

・足裏の感覚(固有感覚)の低下
足裏のセンサー機能が低下すると、地面の硬さや傾き、圧力を正しく感じられず、膝に不自然な衝撃が加わるようになります。
・骨盤や股関節の動きの硬さ
年齢と共に骨盤周辺が固くなり、本来なら分散されるべき動きや負担が膝に集中するようになります。
・反応速度の低下と防御機能の遅れ
つまずいた時やバランスを崩した時に咄嗟に膝や股関節で支える機能が低下していると、無意識に「転ばないように慎重に動く」癖がつき、結果的に膝に過剰な力が入ることがあります。

8. 体重と膝の関係

体重が1kg増えると、歩行時にはその数倍の重さが膝に掛かるとされます。つまり、たった数キロの体重増加でも、膝への負担は想像以上に大きくなるのです。
特に階段の昇降やランニングなどの動作では、その影響が顕著になります。肥満は変形性膝関節症のリスク因子の一つともされ、膝の健康維持には体重管理が非常に重要です。

実はその「負担の掛かり方」にも姿勢や重心の微細なズレが深く関係しています。
例えば…

・「体重」ではなく「重心のズレ」
例えばほんの2〜3cmでも体の重心が前方に移動しただけで、膝への負荷は2倍近くになることがあります。これは「重い体をどこで支えるか」の問題であり、体重が同じでも姿勢や歩き方によって負担は大きく変わります。
・インナーマッスル弱化に伴う姿勢の崩れ
お腹まわりや骨盤まわりのインナーマッスルが弱くなると姿勢が崩れ、体幹で支えきれずに膝でカバーするようになり、慢性的に膝へ過負荷が掛かります。
・筋肉量低下による骨格のアンバランス
「体重を減らすように」との指示に従った結果、急激な減量により筋肉の量が減って関節を支える力が落ちてしまい、逆に膝の痛みが増すケースもあります。

9. 生活習慣やクセが膝に与える影響

座りっぱなしの生活や、あぐら・横座り・足を組むといった座り方のクセ、いつも片側に体重を掛ける立ち方のクセなどは、骨盤や股関節・膝関節にアンバランスな力を掛けてしまい、知らず知らずのうちに膝痛の原因となることがあります。

また、こうした習慣が長期間にわたると、関節の可動域や筋肉のバランスに影響し、膝だけでなく腰や足首など他の関節にまで影響が及ぶこともあります。
他にも…

・呼吸が浅い/ストレス呼吸
現代人に多い「浅くて速い胸式呼吸」は、横隔膜や骨盤底筋群に影響を与え、姿勢を崩す原因に。これにより膝に常にストレスが掛かっている姿勢を強いられることになってしまいます。
・履いている靴や足の使い方
合わない靴やインソール、あるいは足の指を使わずに「ペタペタ歩く」習慣なども、膝への衝撃をダイレクトに伝え、痛みに繋がることがあります。

10. 膝痛の予防と一般的な対策方法

一般的には、膝痛に対しては以下のような対策が推奨されています。

・太ももの筋力強化(大腿四頭筋の筋力トレーニング)
・ストレッチによる柔軟性の維持
・減量による負担軽減
・膝サポーターやインソールの活用

これらは確かに有効な方法ですが、それだけで十分とは限りません。
何故ならこれまで述べてきたように、痛みの出方や感じ方、そして原因は人それぞれであり、単なる筋力や体重の問題に限られた話ではなく、体の使い方や全体のバランス、あるいはストレスや緊張といった心理的要因が関与していることさえもあるからです。

11. 一般的「ではない」視点で膝痛と向き合う

調布の整体「調布からだメンテ整体院」では

・一般的な対策では治らなかった
・なぜ治らないのか、なぜこんなに痛いのか、腑に落ちない
・加齢や筋力不足といった説明では納得できない

…そんな方に向けて、「その方にとっての本当の原因」を丁寧に探る施術を行っています。

膝の痛みの背景には、骨や関節の状態だけでなく、自律神経の状態や、体の使い方のクセや姿勢の歪み、呼吸や緊張状態、さらには感情面の影響が隠れていることもあります。
当院では、こうした「一般的にはあまり注目されない問題」にも目を向けながら、表面的な症状だけでなく、その根っこにある「本当の原因」にアプローチしていきます。

「病院では年齢のせいだと言われた」
「一般的な対処法では変わらなかった」

…そんなケースでも、違った視点からヒントを探していきます。
ぜひ一度、当院にご相談ください。

膝痛を根本的に改善したい方はこちらのページを参考にしてください。